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21/3/17 「BLUE/ブルー」試写会に寄せて

2021年3月17日、「Blue/ブルー」の試写会に当選し、ご招待に預かりました。
実はオンライン試写の方を第一希望で応募していたのですが、まさかの第二希望当選。そして、私の手元には勢いで買い占めた前売り券の束。
いや、試写当ててくれなくても私は見に行くって……という複雑な感情も抱きつつ、辞退するべきかギリギリまで悩んでいたのですが、せっかくなのでと弾丸スケジュールで関西から上京しました。

結果、スクリーンで見ることができてよかったと、大変納得できた作品でした。

まだ公開前なので極力本筋には触れませんが、感想をしたためてみたいと思います。

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大阪ブルク7に掲載された大型ポスター

クソッタレな青春

本作のポスターにある煽り文句は、私に強烈な印象を与えました。

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BLUE/ブルー 試写会ポスター

ボクシングがテーマ、そして髭面でボサボサ髪の主演 松山ケンイチ氏。あらすじや予告を見ると、松山氏演じる瓜田は弱いボクサーで、チャンピオンを目前にした東出氏演じる小川は、瓜田の初恋の人と婚約をしているらしい。しかしそんな小川は、パンチドランカーを患ってしまう。

粗暴な映画かもしれない。
肉体的、精神的な痛みを伴う映画なのかもしれない。
あらすじからそう覚悟した私ですが、この予想は見事に裏切られました。

実際のところ、私にはボクシングに関する知識はありません。フェザー級という言葉やジャブを打つなんて言葉は知っていても、実際意味はよくわからない。その程度のド素人です。
しかし本作は大変よく楽しむこと出来ました。

その理由は、本作がクローズアップしたものが「クソッタレな青春」だったからに他ならないからです。

登場人物は皆、完璧ではありません。何かが欠けています。
例えば松山氏演じる瓜田は、ボクシングをとても愛しているのに、絶望的に弱いのです。そして初恋の人である千佳はそんな瓜田に対して好意的でありながらも、チャンピオンを目前にした強いボクサー、東出氏演じる小川と婚約します。そんな小川ですが、志半ばにパンチドランカーの症状に苛まれていきます。

登場人物には皆、手に入れられないものがありました。
このように登場人物は誰しもが、挫折と渇望を抱えています。

ボクシングがわからなくても

私たちは誰しも、クソッタレな青春時代に、何かを失い、諦めた経験を持つと思います。
本作の登場人物も皆、何かを諦めて手放していきます。

しかし結末は、想像していたほど酷いものではありませんでした。

トークショーでは、「勝ち負けではないところに生きる意味を見出す映画」と評されました。
吉田監督のおっしゃられた、何をもって人生を勝ちとするか負けとするか、という言葉が印象的でした。お墓に入ったときにいくつ、「胸がキュッとするもの」を持っていけるかが人生である、ともおっしゃられました。*1

本作のラストには、青春時代に何かを手放して諦めて挫折してしまった私たちを肯定するものが存在しました。

新しいスタイルの東出氏

東出氏演じたボクサー「小川一樹」について、監督は、男らしいが、ちょっと頭の悪い奴であると評しました。
勉強はできなさそうな、ボクシングと車の運転以外できなさそうな、デリカシーのない男性という人物像です。

私は、東出さんがこういったキャラクターを演じるのは非常に珍しい、もしかすると初めてなのでは、と強い印象を受けました。

実は、作中のあるシーンに私はドン引きしました。今までの東出さん演じたキャラクターからは想像できないような振る舞いです。見た人なら絶対わかる、あのシーンです。
自分がされたらと思うと千年の恋も醒めるし、真顔で肘鉄を入れて蹴飛ばしたくなるような、そんな行動です。

でも、ヒロインである千佳はそんな人物像である彼を許容します。
許容された「小川一樹」は、憎めない、愛すべきキャラクター像をソリッドに見せました。

誰一人完璧じゃない、これは私が各登場人物から強く受け取った印象です。
その完璧じゃなさを互いに許容する様は、愛しているとも言えるでしょう。
そういった関係性がそこからは汲み取られました。

ブルーに秘められた意味

作中で、このタイトル「BLUE」に秘められた意味が明らかになります。

その意味は作中で見ていただくとして、ここでは監督のトークショーの言葉を引用したいと思います。

青は透明感のある色であるとも監督はおっしゃられました。
4月9日という春の公開に相応しい、透明感のある清々しい作品です。

どうかご覧頂ければと思います。*2

*1:メモを取っていたわけではないので原文とは違うかもしれません

*2:前売り券買い占めたので布教する構え